[ Web Letter - Vol.02 ]はじまりの珈琲
Web Letter - Vol.02 / 弥生 March 10, 2026

今、この文章は川の前で書いている。今年3月から始めた朝喫茶の終わりに好きな川に立ち寄り、この文章を書いている。
まさか自分が喫茶を始めるなんて思ってもなかったし、その前に珈琲を焙煎するなんても思ってもなかったし、それ以前に珈琲を飲むようになるとも想像もしてなかった。
それが今、仕事になっている。つい先日は大好きな友人のお店にて、七輪炭火焙煎の実演とそのお豆を使って珈琲を楽しむ「炭火焙煎珈琲を味わう会」を催してもらった。
珈琲するきっかけになったのは、この綾町に来て友達になったちょうど一回り上の友人との出会いだった。年はお兄さんだったが、不思議と弟のような感覚でもあった。
隣の集落に住んでいて通常週3、多い時には週6我が家に来ていた。住み始めたばかりの家を片付けてくれたり、そのまま火を囲み、夜ご飯を共にしていた。
ひかりが生まれたとき、最初に面会に来てくれ抱っこしてくれた。僕が撮影の仕事で沖縄に単身で行っている時は毎日家に顔を出しに来てくれた。僕もまいちゃんも、そしてあかりも彼が大好きだった。
僕はそんな彼が焙煎した珈琲を飲んで、その美味しさによって人生は変わった。最近長い時で一日10時間焙煎するという、文字通り人生が変わった。
綾町に移住して1年が経った頃、彼が旅に出ることが決まった。
とても寂しかった。「焙煎の仕方を教えるよ」彼は言った。僕は七輪炭火での焙煎の仕方を教えてもらった。珈琲の淹れ方を教えてもらった。

その時から2年が経った今、教えてもらった通りに焙煎をして、珈琲を淹れている。
先週の焙煎の時、次女のひかりが側で鼻歌を歌い遊んでいた。先日の焙煎実演会の朝は、友人家族の長男がさらに近い距離でじっと焙煎を見ていた。
珈琲豆を買ってくれる人が増え、北は青森の友人のところ、南は奄美の友人のところまで、僕の代わりにお豆が会いに行ってくれた。使い終わったペーパーフィルターにメッセージを書いて一緒に送るのが、今の楽しみだ。
もうすぐ春だ。数日前、今暮らしている集落「たけんの」に桜が咲いた。
明日でたけんのに移住してまる3年。今週は田んぼの苗床作りをしよう。
そして今日も珈琲からはじまる1日が楽しみだ。大好きな友人が作ったお菓子と共に、まいちゃんとお庭で一緒に飲もう。そして空を見上げ伝えよう。
「珈琲がある人生を教えてくれてありがとう。また一緒に飲める日を楽しみにしてるね」と。
溝口直己
