[ Web Letter - Vol.03 ]今日が最後の日だとしたら
Web Letter - Vol.03 / 弥生 March 20, 2026
~このWeb Letterは宮崎県の里山綾町で写真家をしたり、マッサージをしたり、七輪炭火で珈琲を焙煎したりしながら、家族と心地いい暮らしをつくろうと奮闘する父、溝口直己の物語です~

「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」スティーブ・ジョブズが毎日鏡の前の自分に問いかけていたという言葉である。
先週、僕はパンクした。文字通りいっぱいいっぱいになり、コップの水は溢れるどころか、部屋中、家やお庭、集落中まで水が溢れるくらいまでになっていた。
原因は分かっている。やることが増えすぎてしまったからだ。
綾町に暮らし始めてから、写真の仕事に加え、施術の仕事、そして珈琲焙煎、出店の仕事もやるようになった。お米づくりや季節の仕事、集落内の伐採や草刈り、薪づくりや家周りの改善など、暮らしの仕事もやるようになった。友人の場所整備や古民家DIYサポートも仕事で声をかけてくれ時々行くようになった。
今やっていることは一つ一つどれをとっても楽しく、喜んでやっていた。でも同時に全てをやっていくには限界があった。あくまで溝口直己という人間にとってであるが、同時にできる量には限界があるということに33歳の終わりでやっと氣付いたのだった。

一度止まった。夜早く寝て、陽が登る前に起きてゆっくりと座った。
「息を吸いながら息を吸っていることに氣づいている。息を吐きながら息を吐いていることに氣づいている」
静かに呼吸しながら座る瞑想を繰り返した。そして今日一日やろうとする全てのことに「もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?」を問いかけてみた。
今日が最後の日だとしたら、この後歯磨きはするだろうか。する。
今日が最後の日だとしたら、カメラを持ってポノとリンの朝の散歩に行くだろうか。行く。
今日が最後の日だとしたら、依頼してくれた家族写真を撮りに行くだろうか。行く。
今日が最後の日だとしたら、相談された場所の見回り仕事に行くだろうか。行かない。
今日が最後の日だとしたら、夜ご飯は遅くに一人で食べるだろうか。家族みんなで食べる。
今日が最後の日だとしたら、想いを文章に残すだろうか。残す。
朝起きてから夜眠るまでの全ての行動に、「今日が最後の日だとしてもそれをやるのか」を自分に問いかけた。
そうして分かったこと。それはやっぱり僕は写真することが好きなんだと。自分の家族の風景を撮り、暮らしに寄り添ってくれる自然を撮り、大切な友人、お世話になっている方々、「写真を残したい」と言ってくれる方々の写真を撮りたいんだと。
そしてその合間にみんなとお茶する時間、家族みんなでご飯を食べる時間があれば、今日が最後の日でいいと。
増えすぎてしまった荷物を下ろす作業を、この3月でやっていこうと思う。
毎日全てのやろうとすることに問いかけと感謝を伝えながら。
さあ、自分に集中だ。
