[ Web Letter - Vol.05 ]一人、ではない。
Web Letter - Vol.05 / 卯月 April 8, 2026
~このWeb Letterは宮崎県の里山綾町で写真家をしたり、マッサージをしたり、七輪炭火で珈琲を焙煎したりしながら、家族と心地いい暮らしをつくろうと奮闘する父、溝口直己の物語です~

妻の舞ちゃんが屋久島の旅に出て、今日で1週間が経った。結婚してから初めての一人旅だ。
7歳のあかりはホームスクーリング、もうすぐ3歳になるひかりも家にいるので子どもたちとは常に一緒。どれだけ子どもが好きでも、時々の一人時間は人間には必要と思っていたので、舞ちゃんが「屋久島に一人で行きたい」と話してくれた時はとても嬉しかった。
そして家に残る僕も子どもたちふたりと、この8日間を楽しみ尽くそうと想像を膨らませていた。
しかしそんな矢先、あかりとひかりがウイルス性の病気にかかった。立ち上がれず、何も食べれずにどんどん痩せていくあかり。怒るか泣き叫ぶか、そのどちらかしかないひかり。
舞ちゃんの出発直後からその状態が数日間続き、僕も日に日に疲弊し、平静を保とうとしてもすぐに乱れてしまう精神状態に「心というのはこんなに簡単におかしくなっていくのか」と底なしの沼に吸い込まれていくような感覚だった。

そんな時に助けてくれたのが、友人、隣人、そして自然だった。
ふらっと町から自転車でやってきてくれた友人。庭で話したいつもの何気ない会話がどけだけ安らぎをくれたか。
全く食べれず笑えなくなったあかりが、隣のおじいちゃんと話す時に見せてくれた笑顔にどけだけ救われたか。
朝起きた瞬間から泣き続けるひかりを抱っこし歩きながら見た木々や草花、空にどれだけ呼吸の安定と静けさをもらったか。
「人は一人では、生きていけない」はまさしくそうで、僕は周りの方々に救われた1週間となった。

人は一人ではないのに、一人だと思ってしまう時がある。
そんな時に、立ち戻らせてくれるのは、いつだって友であり、身近な人であり、身近な生き物、そして自然だ。
今回、「心配ないから旅を楽しんで」と勝手に強がってしまったこと、もう一つは理想の1週間を先に想像してしまったことが自分を追い込んでしまったなあと思った。
強がらず頼る。そして委ねる。一人ではないのだから。
マインドフルに、目の前の今生きる。未来は未だ来ていないのだから。
今日は元気になってきたあかりとひかりとお昼庭に出てアリの巣を観察しながら笑った。夕方は隣のおじいちゃんのところへヒヨコがやって来たので会いに行き、みんなで夢中になって生まれたてのヒヨコを愛でた。
「藤の花が咲いたら種を蒔くんだよ」
隣のおじいちゃんがまた一つ教えてくれたことを頼りに、今日も子どもたちと、微笑みと共に生きていこう。
